「TV Bros.」の進化と
「SAUNA BROS.」に見出した新たな可能性

篠﨑 司

ビジネスプロデュース推進室
TVブロスデジタルチーム

篠﨑 司

フリーランスの編集としてB.L.T.編集部に在籍。2010年に入社し、B.L.T.副編集長に。2014年TVガイドPERSON編集長を兼任。2015年B.L.T.編集長就任。2018年B.L.T.統括編集長就任。2019年TV Bros.、B.L.T.統括編集長就任。2020年新設・ビジネスプロデュース推進室の担当部長就任。

2020年4月号をもって定期誌としての刊行を終了した「TV Bros.」。他誌では取り上げないニッチすぎるテーマと錚々たる連載陣によるコラムが読者に熱狂的な支持を得てきました。定期刊行終了後は、Web版として始動した「TV Bros.note版」で人気連載陣のコラムは継続、紙媒体としては不定期刊行と並行して、TV Bros.のブランドを活かしたムック本「OWARAI Bros.」「ネコブロス」「SAUNA BROS.」などを発売し、話題を呼びました。TV Bros.はこれからどこへ向かっていくのか──。サウナをテーマにした「SAUNA BROS.」を手掛け、ECサイトをオープン、公式LINEスタンプを販売するなど、TV Bros.ブランドの更なる展開をしかけるビジネスプロデュース推進室の篠﨑が、進化を続ける「TV Bros.」のこれまでとこれからを語ります。

時代の変化に対応するTV Bros.の進化

TV Bros.

「TV Bros.」は「TVガイド」の兄弟誌として1987年に創刊されました。二週間分の番組表が掲載されていながら週刊誌よりも安く、さまざまなカルチャーの情報や細かい文字が誌面にぎっしり詰め込まれているコラムが若い読者に人気で、番組情報よりコラムを目当てに購入する読者も多かったと聞いています。当時、「TV Bros.」はジャンルにこだわらず、あらゆるカルチャーをさまざまな角度で紹介してきました。雑誌の中でもテレビ誌は特異な位置にありますが、その中でも「TV Bros.」は掘り下げるテーマの特殊性など、あらゆる点でオンリーワンな媒体だったと思います。しかしウェブの時代が来て、メインカルチャーとサブカルチャーの境目が曖昧になり、読者の情報を入手する手段も多様化し、雑誌のあり方も時代とともに変化が求められていることを強く感じるようになりました。「おもしろさの追求」という点は変わっていないと思いますが、読者のニーズに応じてテーマの「切り方」や「掘り方」は自然と変わってきていると思います。

進化の中で生まれたTV Bros.の新たな可能性

「TV Bros.」は、さまざまなジャンルにおいて造詣の深い人たちが新たなカルチャーを紹介・発信していける、“力”のある媒体でした。時代が変わり、情報収集はウェブが主役となり、一方で、紙媒体はより深掘りしていくことが求められつつある今、そのニーズに応え、一つのテーマをまるまる1冊にまとめたのが「OWARAI Bros.」や「ネコブロス」、「SAUNA BROS.」でした。

「OWARAI Bros.」「ネコブロス

例えば、「ネコブロス」の「猫」というテーマをとっても、テレビや映画で活躍したりSNSで活躍していたりする猫の紹介から、一般に飼っていらっしゃる猫の紹介まで幅広い。さらには、猫が遊ぶグッズから猫の世話をするアイテム、毎日食べるエサなど、ジャンルや繋がりは広がっていく……。テーマを深く掘り下げて、そのおもしろさや楽しさが伝わるように編集し、発信していくという「TV Bros.」のおもしろさの基本をいかすことで、媒体としての可能性が広がった結果が「OWARAI Bros.」や「ネコブロス」、「SAUNA BROS.」だと思います。

「TV Bros.」のシリーズの一つとして、1月26日に発売された「SAUNA BROS.vol.1」。首都圏や福岡、熊本、さらには長野など、全国各地の人気サウナを紹介するほか、人気タレントをサウナで撮影した豪華グラビア、サウナを愛するサウナーのインタビューが好評を博し、多くの書店で完売し重版することとなった。

「SAUNA BROS.」へのこだわり

SAUNA BROS.

「SAUNA BROS.」の創刊のきっかけは、私自身が仕事終わりにサウナへよく行っていたから(社内同好会としてサウナ部を2019年度発足)というのもありますが、サウナという1つのテーマでまるまる1冊紹介されている媒体がそこまでなく、近年のサウナの盛り上がりを踏まえてタイミングは今だと思ったからです。構想自体は2年以上前からですかね。

まず、サウナの雑誌をつくることになって重視したのはビジュアルです。サウナを紹介するにあたり魅力的に伝えるにはどうすべきか考えました。「B.L.T.」や「blt graph.」、写真集などで活躍されているカメラマンに、「人物を撮るようにサウナを撮ってほしい」とお願いし、その写真はなるべく誌面で、読者に分かりやすく、さらにはダイナミックに紹介されるようにレイアウトしました。

実際に取材をしていく上で、今まで私が経験してきた“人の魅力を伝える”のとは違う難しさがありました。それでも取材をする度に新しい出会いも多くありました。例えば、取材で訪れた地で、地元の方々への聞き込みにより見つけたサウナをその場で直接交渉し取材したり、サウナを通じ日本のビジネスシーンの活性化を目指す「JAPAN SAUNA-BU ALLIANCE(https://sauna-bu-alliance.themedia.jp)」に加盟させていただいたりと、出会いだけではなく新しく知ることも多く、“楽しい”と“難しい”という気持ちが混在し試行錯誤する日々でした。

発売される1週間前は不安でしたが、ネット書店では発売日前から予約が殺到し、発売後すぐに重版が決まりました。さらには新聞、ラジオなどにも取材され、サウナ用ストーブ会社や旅行会社など幅広く問い合わせがありました。

TV Bros.ブランドが生み出す新たなコンテンツのかたち

SAUNA BROS.

これからも自分たちがおもしろいと感じることをプロデュースして、形にして発信していくことをやっていきたいし、みんながちょっと思いつかないようなこと、思いついてもやらないことを紙に限定しないで展開していきたい。「おもしろい!」がすべてなので。おもしろいことが発信できればテーマに制限を設ける必要はないと思います。

ビジネスプロデュース推進室でいえば、「本の収益に頼らないビジネスモデルをどうつくるか?」の実行・実現に向けて、日々活動しています。直近の活動でいえば、SAUNA BROS.のキャラクター「ピースくん」の公式LINEスタンプを作り、SAUNA BROS.のグッズを販売するECサイトをオープンしました。ジャンルに制限を設けず、いろんなことをプロデュースして、クリエイトすることに挑戦できます。東京ニュース通信社のグループ会社には動画制作会社もありますし、これから入社してくる方には、紙媒体に限らず、どんどん新しい事業を提案してもらいたいです。SNSの普及により誰でも世界に発信ができるようになり、個人でできることも増えましたが、会社の今まで培った経験や資産を踏まえて大きく事業を動かせることにも個人的に楽しさを感じますね。

編集者に必要な素養と仕事の醍醐味

編集者に一番大事なのは「好奇心旺盛」であることだと思います。いろんなことに興味があり関心を寄せていく。そういう意味では、自分が生きてきた全ての経験が活かせるチャンスがある職業だと思います。サウナに興味を持ってサウナ雑誌を作ったり……例えば釣りが好きなら、タレントが釣り企画をやりたいと言った時にすぐ実現できたり。今まで生きてきた経験がいろんな形でいかせると思います。そしてもっと知りたいという気持ちになった時に、動けるかどうかが大切です。思っていても実行しないと形になりません。不安なことも多いかもしれませんが、それを超える“おもしろそう”や“知りたい”が大切だと思います。

就活生へのメッセージ

学生時代には就職活動をせず、仕事もしたくないと思っていた自分が、今では仕事中心な毎日をおくっています。学生時代と社会人は実はつながっているもの。自分自身を知り、自分のおもしろいところやストロングポイントを見つけ、それを提案することで新しい未来が切り開けられると思います。がんばってください。